Investment

プロジェクト

ラッサウイルスに対する二価 mRNA–脂質ナノ粒子ワクチンの開発、製剤最適化および効果の評価
  • Project ID
    T2025-257
  • 受領年
    2025
  • 投資金額
    ¥100,000,000
  • 病気
    NTD(Others)
  • 対象
    Vaccine
  • 開発段階
    Concept Development
  • パートナー
    大阪大学 ,  テキサス大学医学部ガルベストン校

イントロダクション/背景

イントロダクション
ラッサ熱は西アフリカの広い地域で流行する重篤な感染症で、年間約270万人が感染すると推定されています。公衆衛生上の深刻な負担にもかかわらず、現在承認されたワクチンや抗ウイルス薬は存在しません。防御には強いT細胞免疫が重要と考えられるため、安全に強力な細胞性免疫を誘導できるワクチンプラットフォームが求められています。私たちの研究では、ラッサウイルスの主要抗原である糖タンパク質(LASgpc)とヌクレオプロテイン(LASnp)をコードするmRNA-LNPワクチンが、BSL-2のマウスモデルで防御効果を示し、両抗原の併用では防御効果が増強される可能性が示唆されました。本プロジェクトでは、両抗原を1本のmRNAで発現させるバイシストロニック(2遺伝子同時発現型)mRNAワクチンを開発し、製造効率とコストの改善を目指します。また、低温設備が限られた地域での使用に向け、LNP組成を最適化して熱安定性を高めます。本研究は、安全で生産拡大が可能で、流行地域でも利用しやすいラッサ熱mRNAワクチンの実現を目指します。

プロジェクトの目的
本プロジェクトの目的は、ラッサウイルスGPCとNPの両方を単一のバイシストロニックmRNAに組み込むことで、安全で有効性が高く、現場で使用可能な二価mRNA–LNP型ラッサウイルスワクチンの開発を進めることです。このアプローチにより、抗原の幅を広げ、防御免疫を強化し、将来的にリソースが限られる地域での導入を見据え、製造工程の効率化も図ります。プロジェクト期間中には、実際のラッサウイルス感染モデルを含む複数の動物モデルでワクチンの有効性と免疫原性を評価し、LNPの熱安定性を高めるための最適化も行います。これらの取り組みにより、熱安定性が高く、広く利用しやすいラッサウイルスmRNAワクチンの臨床開発への移行を加速させます。

プロジェクト・デザイン
私たちは、ラッサウイルスGPCとNPをコードするバイシストロニックmRNAを開発・評価し、その品質と製造適性を確認するための各種解析試験を実施します。バイシストロニックmRNA-LNPは、免疫原性と防御効果を評価するために BSL-2の感染モデルで試験し、有望な候補はBSL-4施設で実施される、実際のラッサウイルス致死性モルモットモデルでさらに評価します。LNPの熱安定性を高めるため、凍結乾燥や組成調整による最適化を行い、高温条件での安定性を検証します。将来の臨床生産に適した制御混合法を用いて、前臨床グレードのワクチンロットを製造できるスケーラブルな製造プロセスも確立します。最後に、臨床開発への移行を支えるため、BSL-4 の致死性モルモットモデルで防御効果を評価します。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

ラッサウイルスは西アフリカで年間約270万人が感染すると推定されています。流行地域での公衆衛生に深刻な影響を与えているにもかかわらず、承認されたワクチンや抗ウイルス薬は存在せず、ワクチン開発は喫緊の国際的課題となっています。本プロジェクトは、LASgpcとLASnpをコードする二価 mRNA‑LNP ワクチンを開発し、広範な細胞性免疫の誘導を目指すことで、このギャップに対応します。この二抗原戦略は、両抗原を含めることで防御効果が高まる可能性を示唆する弱毒化ワクチン研究の知見に基づいています。重要な点として、ウイルスベクターワクチンと異なり、mRNA ワクチンは抗ベクター免疫の影響を受けないため、必要に応じて追加接種や抗原設計の調整にも柔軟に対応できます。また、mRNA ワクチンは非増殖型であるため、小児や妊婦を含む脆弱な集団にも適しています。迅速なプロトタイピングとBSL‑2代替チャレンジモデルにより評価を加速し、長期的にはリソースが限られる地域でも使用可能な、熱安定性とスケーラビリティを備えたプラットフォームの構築を目指します。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

本プロジェクトは、ラッサ熱ワクチン開発に長く存在してきた課題に対して、いくつかの重要な技術革新を導入するものです。第一に、LASgpcとLASnpを1本の転写産物から協調的に発現させるバイシストロニックmRNA設計を採用しています。この手法は、抗原の幅を広げつつ製造を簡素化できる効率的なアプローチです。二抗原戦略は、両抗原の同時発現が系統を超えた防御に寄与することを示す既存の知見に基づいています。第二に、LNP組成の最適化や凍結乾燥など、熱安定性を高めるための製剤技術を統合し、超低温保管への依存を減らして、リソースが限られる流行地域での使用適性を高めます。第三に、ウイルスベクターワクチンと異なり、mRNAプラットフォームは抗ベクター免疫の制約を受けないため、繰り返しのブースト接種が可能です。さらに、非増殖型であることから、小児や妊婦を含む脆弱な集団に対し特に有用なワクチンとなることが期待されます。これらの革新的な取り組みにより、グローバルヘルスのニーズに応える、拡張性が高く現場で使いやすいワクチン開発を推進します。

各パートナーの役割と責任

CAMaD(大阪大学):プロジェクト管理とマイルストーンの意思決定を統括し、バイシストロニック mRNA の設計と外部委託による製造を主導し、高品質な研究用材料を提供する。

RIMD(大阪大学):BSL‑2マウスモデルを用いて、迅速なin vivo系で免疫原性と防御効果を評価する。

UTMB(テキサス大学):ラッサウイルスを用いたBSL‑4モルモットモデルで有効性試験を実施し、臨床開発に向けた重要なデータを取得する。

UOsaka Med(大阪大学):LNP 製剤の設計、熱安定性の最適化、将来の臨床生産に適したスケーラブルな製造プロセスの構築を担当する。