Investment

プロジェクト

流行性・致死性疾患に対する高性能免疫グロブリンの戦略的創出(SHIELD)
  • Project ID
    T2026-152
  • 受領年
    2026
  • 投資金額
    ¥99,900,000
  • 病気
    NTD(Others)
  • 対象
    Diagnostic
  • 開発段階
    Technical Feasibility
  • パートナー
    iBody株式会社 ,  PATH

イントロダクション/背景

イントロダクション
本プロジェクトは、医療資源の限られた地域(LRS)におけるアウトブレイクの早期発見と封じ込めを、現場で利用できる信頼性の高い診断ツールである迅速抗原検査(RAT)によって支援する事を目的としています。対象は、生態学的・ウイルス学的な特性を共有しているニパウイルス(NiV)とヘンドラウイルス(HeV)で、いずれも重篤なアウトブレイクを引き起こす可能性があり、優先度の高い世界的な病原体として公衆衛生上極めて重要です。両ウイルスはコウモリを共通の自然宿主としており、NiVが南アジアや東南アジアで繰り返し流行しているのに対し、HeVはオーストラリア東部で流行しています。現状、両ウイルスに対する対策は欠如しており、NiVやHeVに対して承認されたワクチンや治療法は存在しません。NiVによるアウトブレイクの致死率は70%を超えることがありますが、その主な原因は、診断の遅れと治療法の欠如にあります。

プロジェクトの目的
私たちの目標は、NiVおよびHeVの感染を検出し、それぞれを見分ける事が可能な、耐久性が高くて使いやすく、高精度なRATを、手頃な価格で提供する事です。このツールにより、LRSにおける集団感染の早期発見が可能となるため、感染拡大を抑制して、人命を救う事につながります。

プロジェクト・デザイン
本プロジェクトでは、適切な免疫原の選定、革新的な抗原設計、そして、iBody社の独自技術によるメモリーB細胞を対象とした抗体スクリーニングを組み合わせる事で、高い特異性を持つFabを極めて迅速かつハイスループットに特定します。特定された抗体は配列解析後にリコンビナントIgGとして調製され、免疫測定への適合性や性能についてPATHによる評価が行われます。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

本プロジェクトでは、NiVおよびHeVに対するRATの欠如という公衆衛生上の世界的な重要課題に取り組みます。これら人獣共通感染症は致死率が高く、WHOはパンデミックの可能性のある「疾患X」優先病原体に指定しています。いずれも、西アフリカから日本にかけて生息する果実食コウモリによって媒介され、人間・家畜・果実食コウモリが共存する監視体制が脆弱な農村部やLRSでは、数十億人の人々が危険に晒されています。現時点で、これらに対するRATは市販されておらず、その検出は中央検査室での培養法や分子生物学的手法に依存しています。これらの検査は時間と費用を要し、資源の乏しい地域での実施は困難です。早期の隔離や接触者追跡が封じ込めに不可欠な状況では、診断の遅れが感染拡大のリスクと死亡率を高めます。また、現場検査ツールの欠如は「ワン・ヘルス」サーベイランスを妨害し、人獣共通感染症の異種間伝播の把握が制限されています。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

本プロジェクトは、iBody社との提携により、抗原の設計から同社の独自技術による抗体の探索を行うものです。PATHは、抗体のスクリーニング、RAT(迅速抗原検査キット)のプロトタイプ設計、およびRATの分析的ベンチマークを通じて、iBody社の取り組みを補完します。この提携により、リスクを低減したプロトタイプが完成し、重要試薬への世界的なアクセスの確保された状態で、量産化に向けた準備が整うことになります。

各パートナーの役割と責任

PATHは、本プロジェクトを全般的に統括し、免疫測定法のプロトタイプおよびRATの開発、そしてRATの製品化計画を主導します。

iBodyは、動物免疫、抗体のスクリーニングおよび作製を担当します。

他(参考文献、引用文献など)

1. WHO R&D Blueprint: Priority Diagnostics for Nipah. (2019).

2. Gazal, S. et al. Nipah and Hendra Viruses: Deadly Zoonotic Paramyxoviruses with the Potential to Cause the Next Pandemic. Pathogens 11, 1419 (2022).

3. Eaton, B. T., Broder, C. C., Middleton, D. & Wang, L.-F. Hendra and Nipah viruses: different and dangerous. Nat. Rev. Microbiol. 4, 23–35 (2006).

4. Halpin, K. & Rota, P. A Review of Hendra Virus and Nipah Virus Infections in Man and Other Animals. Zoonoses - Infect. Affect. Hum. Anim. 997–1012 (2014) doi:10.1007/978-94-017-9457-2_40.

5. Arunkumar, G. et al. Outbreak Investigation of Nipah Virus Disease in Kerala, India, 2018. J. Infect. Dis. 219, 1867–1878 (2019).