Investment

プロジェクト

バイオインフォマティクスと機械学習を用いたアンチセンスオリゴヌクレオチドの抗マラリア活性の向上
  • Project ID
    S2025-211
  • 受領年
    2025
  • 投資金額
    ¥24,031,200
  • 病気
    Malaria
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Hit Identification
  • パートナー
    エーザイ株式会社 ,  Medicines for Malaria Venture (MMV)

イントロダクション/背景

イントロダクション
マラリアは依然として低所得国で深刻な公衆衛生負担となっており、効果的な新規予防薬の開発は抗マラリア分野における重要課題です。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、長時間作用し、主にマラリア原虫の侵入部位である肝臓に集積することが知られており、アンメットニーズに合致します。タンパク質レベルではなくmRNA レベルで作用する核酸医薬は、ワクチンや低分子化合物では創薬困難であった標的遺伝子を狙えるため、低分子化合物に対する耐性の問題を克服する可能性もあります。
我々はこれまでに、妥当性が確認された抗マラリア薬の標的に対する ASO のデザインとスクリーニングを行ってきました。これまでの取り組みにより、ASO が用量および配列依存的に原虫に対して有効であり、感染防御試験モデルにおいて長時間の予防効果を示すという概念実証データが得られました。

プロジェクトの目的
本プロジェクトの主目的は、バイオインフォマティクスおよび機械学習アルゴリズムを活用し、これまでの成果をさらに発展させ、複数のマラリア原虫種の標的に対し有効で高活性な ASO を同定することです。

プロジェクト・デザイン
本プロジェクトでは、バイオインフォマティクスを用いて 熱帯熱マラリアおよび マウスマラリア遺伝子の保存領域を標的とする ASO をデザインします。これらの ASOを、熱帯熱マラリア(赤血球期) および マウスマラリア(肝臓期) に対する標準的アッセイを用いてスクリーニングします。得られた結果は、ASO デザインを最適化するための機械学習アルゴリズムに統合されます。このスクリーニングにより、高活性かつ広範な標的網羅性をもつ ASO を同定し、既存の遺伝学的ツールを用いて、目的とする標的に対する活性の検証へつなげることを目指しています。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

マラリアは2024年には80カ国で推定2億8200万件の症例と61万人の死亡が報告されています(1)。
新規予防薬の開発は、移民や旅行者、集団感染時における非免疫保持者にとって、さらには、季節性マラリアに対して行われている化学予防プログラムに比べてより簡便で確実に届けられる予防プログラムに置き換える上で重要です。
いずれの場面においても、費用及び継続使用の観点から、投与回数を減らすことができる長時間作用型が強く望まれており、抗体などの注射剤が注目されています。ASO もこのニーズに合致していますが、更なる研究が必要です。
ASOはmRNAに作用するため、標的の範囲が広がります。また、マラリア原虫の必須遺伝子はヒトの遺伝子配列と大きく異なるため、高い選択性が期待できます。さらに、毒性や薬物動態が配列よりも化学的特性に主に依存するため、プラットフォーム技術として手法が確立されることで他の標的にも展開が可能です。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

本プロジェクトは、長時間作用型予防薬となり得る革新的な抗マラリア戦略として ASO を包括的に評価します。高活性 ASO の同定は、抗マラリア領域に変革をもたらし得る新しい創薬モダリティを提供することになります。
また、新規マラリア薬標的の検証ツールとしての活用も期待されます。
この共同研究チームには、最先端のターゲットバイオロジー、スクリーニング技術、および先進的核酸技術が結集しています。

各パートナーの役割と責任

チームは、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の支援を受け、エーザイ及びMedicines for Malaria Venture(MMV)の科学者およびプロジェクトマネージャーで構成されます。
代表機関であるエーザイは、合意されたスケジュールと予算で計画を遂行し、GHIT への報告を担当し、機械学習モデルを含むASO デザインに参画します。
MMVはプロジェクト・デザインに参画し、抗マラリア創薬の専門知識を提供します。
UCSD Winzeler教授の研究室は、評価対象となる標的遺伝子の同定、バイオインフォマティクスアプローチの探索、ハイスループットの肝臓期および赤血球期の細胞培養アッセイを活用したASOプロファイリングを行います。
チーム全体で、革新的な抗マラリア薬の開発経験をもとに、開発戦略・実験デザイン・データ解析に協力して取り組みます。

他(参考文献、引用文献など)

(1) WHO (2025) World malaria report 2025, World Health Organization